(2014年)
11月8日
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11月8日(土) 初の日中首脳会談実現に向けた事前合意文書にみるあやふやさと危うさ
 日中両国での現政権がスタートして以来、ほぼ2年近くになる。
これ迄には両国間での首脳会談の機会と云うのがなく、東シナ海での緊張の高まりに加えて、最近では小笠原や伊豆諸島周辺海域にまで及んでのサンゴ密漁船問題等々、問題山積の現状だが、どうやら、来週に北京で開催されるAPECの機会を通じては、初の首脳会談の開催にこぎ着けたとの報。
只、その開催に向けての事前合意内容として公開された文面には、少なからずの驚きと戸惑いを覚えてしまうのは小生だけのことだろうか。
まさに、玉虫色内容の合意文であり、敢えて、解り難い表現を用いることで、其々の思惑で都合良い様に解釈すれば良いと云う意味合いもあるのだろうかと・・・。

1)日中の戦略的互恵関係を発展させていく
2)歴史を直視し、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた
3)尖閣諸島など東シナ海の海域で近年緊張状態が生じていることに異なる見解を有している
   と認識し、対話と協議を通じて、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態を回避する

4)政治・外交・安保対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努める

(1)項では、一般庶民にとっては、何となく、解る様な解らない様な抽象的表現ながらも、従来からの使い回し文だから、まぁ、それはそれで見過ごすとして。(2)項の「歴史を直視し」の箇所については何らかの違和感を禁じ得ない処。40年位前の1970年代の国交正常化の際には、「とにかく、過去には色々とあったけれども、これからは未来志向で・・・」との仲直りの握手をした筈だったとは思うもの。政権が変わる度に「歴史を直視して」とか、「歴史認識がどうの」とかを未来永劫繰り返していくのだろうか?との疑問もある。
それに、「若干の認識の一致をみた・・・」と云うのは、一体、どの様に解釈して良いものやら、と。(3)項の尖閣諸島、東シナ海域での緊迫状況についてを「双方での異なる見解を有していると認識し・・・」というのは、従来の日本側主張の「領土問題は存在しない」との見解と如何様に相違あるものやら・・・。 文章の戯言の様でもあり、小生の貧脳では、なかなかすんなりとは理解及ばない様な気もする。
只、中国側での意図としては、とにかく、日本側に尖閣諸島についての領土問題の存在を認めさせることが先ずは先決であり、それから先は綱引きでの勝負との目算もあり、戦略でもあるのだから、今回では、先ずは、その糸口にしたい処。
その意味では、上記合意文面中の第3項中においては、ともあれ、中国側にとってみれば、多少なりとも領土問題の存在を日本側に認めさせる上での、似通った様な文言をねじ込めたというのが、先ずは、ここからの叩き台に、との下心ではあるのだろう・・・。
 何れにしろ・・・、将来的、最終的には、周辺海域を含めた共同管理、共同開発という歩み寄りの方向性以外には、永遠に解決の道と云うのはあり得ないだろう・・・。